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​製塩方法

■海水を取水する

■ビニールハウスで天日干し

土佐沖の島塩業の製塩方法は天日製法を用いています。

​天日製法とはその名の通り太陽光の熱を利用して海水を蒸発させて塩を作る製法です。

​製塩所の目の前にある港に海水を取りたい時にポンプを入れてホースで製塩所のタンクに吸い上げています。この港は川の水が流れ込む湾になっており、その海水には国立公園である沖の島の原生林が残る豊かな山々から流れ出る豊富なミネラルが含まれています。川沿いには民家がないので生活排水が流れていないのも安心です。普段は船も係留していないので沖の島でも透明度が高い美しい海になっています。又、沖の島近海は黒潮と豊後水道の海流が合わさるポイントで生命豊かな海域で海域公園にもなっており、美しい海水を取水することができる塩作りに適した環境になっています。

​ビニールハウス内に並べた箱の中に海水を入れています。ハウス内は太陽光で保温されるので夏で晴れていると60℃にも達することがあります。冬でも40℃くらいになります。室温が高い環境で海水を天日干しすることで蒸発を促すことができます。そして海水の水分が蒸発したら海水に溶け込んでいるミネラルが析出、結晶化して塩ができあがります。これが天日製法です。

■天日製法の特徴

天日製法の特徴としては大粒でミネラルが豊富であるというのが有名ですが、実は粒のサイズは調整することができ、ミネラル成分もある程度は調整することができます。それを可能とするのは他の製法と比べて非常にゆっくり海水の状態が変化するという点がポイントになっています。

 

海水には70~100種類の物質が溶け込んでいるといわれており、代表的な物質は簡潔な表現でいうとカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等が多く含まれています。物質の溶けやすさというのはそれぞれ異なりますので溶けにくい物質ほど余分な水分が蒸発すれば析出してきます。その為、海水に溶け込んでいる物質は全てが一斉に析出するのではなく時間差があります。

 

天日製法では前述させていただいたようにゆっくりと海水の状態が変化するのでその間に職人が手を加えることで、様々な塩を作ることができるのです。

海水の塩分濃度は平均して約3.5%といわれています。天日干しによって海水の蒸発が進んで濃度が15%くらいになると一番最初にカルシウムが析出してきます。そのカルシウムを網ですくって取り除くことができますし、逆に取り除かずに残すということもできます。カルシウムは多すぎると雑味を感じ後味が悪くなってしまうので基本的には取り除きますが、ある程度残すことでナトリウムの結晶の隙間や表面にカルシウムを纏わせることで塩味をまろやかに甘みのあるような味わいにすることができます。カルシウムを取り除かずに頻繁に混ぜ合わせるとパウダー状のふわふわとした塩にすることもできます。又、カルシウムは結晶が白っぽく色付くのが特徴になり、逆にカルシウムを取り除いた塩は透明な結晶になります。

濃度が25%くらいになると次にナトリウムが析出してきます。ナトリウムは塩味を感じる成分で塩の主な成分です。塩とは総称のようなものでナトリウムの結晶の表面や隙間にカルシウム、カリウム、マグネシウム等が付随しています。

最後にマグネシウムとカリウムです。26%くらいからじわじわ析出してきますが、マグネシウムやカリウムが多く析出してくるのはナトリウムが結晶化した後の30%くらいになりますのでマグネシウムが析出してくるまでじっくりじっくり塩を育てるということもできます。そうすることで塩の後味が奥深いコクがある味になります。しかしマグネシウムはいわゆるニガリといわれるもので結晶を干乾びさせるまで蒸発させて全て析出させてしまうと非常に苦い塩になってしまいます。又、マグネシウムは溶けやすい物質で湿気でも溶けてしまうのでマグネシウムが豊富な塩はすぐに湿気でべた付きやすいという特徴もあります。工場でイオン交換膜によって精製された塩がサラサラしているのは主成分がナトリウムで湿気やすいマグネシウムやカリウムが含まれていないからなのです。

 

カリウムも溶けやすい物質でマグネシウムとほぼ同時期に析出し、酸味を感じる成分です。

つまり代表的な物質が析出してくる順番としては①カルシウム→②ナトリウム→③マグネシウムとカリウムはだいたい同じくらいです。それぞれ一気に析出するのではなく、じわじわ、ゆっくりと出てきます。味覚としてはカルシウムは雑味、ナトリウムは塩味、カリウムは酸味、マグネシウムは苦味やコクです。

 

又、海水を混ぜ合わせる頻度であったり、混ぜるタイミングも重要です。最初から最後まで混ぜなくても塩は出来上がりますが、混ぜないと底にカルシウムが固着してしまったり、各成分が均一に混ざらず、美味しい塩にはなりません。過飽和状態の結晶化直前の濃度の時に混ぜ合わせるとその衝撃でイオンが整列して細かな結晶になりやすいです。逆に混ぜないでいると結晶は1つ1つ大きく育っていきます。

 

ハウス内の湿度や温度コントロールも塩作りにおける重要な要素です。温度が高ければ海水の蒸発が早く進みますが、同時に湿度も上がってしまいます。湿度が高いと室内が結露だらけになって蒸発が進まなくなります。又、せっかく結晶化しても高湿度で溶けてしまったり、結晶が大きく広がって不格好な形状になります。

 

温度の場合は温度によって各成分が析出する濃度や量も変わってきます。火を入れて100℃の高温で一気に濃縮して作る塩と天日で40℃の低温でじわじわ濃縮して作る塩では塩ができるスピードだけでなく、析出する成分の量やバランスも大きく異なります。その為、釜焚塩と天日塩が異なるのはもちろん同じ天日塩でも冬と夏の季節、雨や晴れの天候によって塩のでき方は変わってきますが、ビニールハウスの窓の開け閉めで保温や換気をすることでハウス内の温度や湿度をコントロールしていきます。

これらの様々な要素を変化させることで塩の結晶の形や大きさ、色、成分、そして味を作り分けることができます。それが天日製法の最大の特徴であるといえます。

アクセス

​土佐沖の島塩業

〒 788-0678
高知県宿毛市沖の島町弘瀬821コ(事務所)

   宿毛市片島港から定期船に乗船

   沖の島の母島港で下船後に

   南西の古屋野方面へ徒歩15分で製塩所

☎ 090-8250-7269

​営業時間:9時~17時 休業日:不定休

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